“0対31”からの、再生物語。

ryujinoda

2014年06月22日 23:18


(C)Next Goal Wins Limited.

『ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦』、自宅試写。

2002年FIFAワールドカップ日韓大会のオセアニア予選で、オーストラリアに0-31という屈辱的な大敗を喫したアメリカ領サモアのナショナルチーム。そのチームの再生を追ったドキュメンタリー。
0-31というのは、国際Aマッチ史上最大の得点差なのだそうだ。その悲惨な様子はYoutubeに上がっている。
素晴しいドキュメンタリーでした。

単純に弱小チームの再生物語ではおそらく面白くもなんともないと思うのだが、このチームはなんだかみんなキャラが立っているのだ。
31失点を喫したゴールキーパーは、アメリカに移住した今も夜眠れずにサッカーゲームで連夜オーストラリアに戦いを挑んでいる。そしてそのリベンジのために再招集される。
男でも女でもない、第3の性を持つというディフェンダー。その心は女性で、ゲームの前にはちゃんとメイクをする。でも、その守りは超アグレッシブだ。この第3の性(ファファファインという)は、サモアではごく当たり前のことなのだそうで、周囲も彼(彼女)をきちんと受け入れている。
アメリカのサッカー協会から派遣された監督は、オランダ人で、かつてはクライフやジョージ・ベストとプレーしていたという。でも彼は非常にヒステリックで、当初はチームや協会との間に大きな溝を作ってしまう。でも、次第に島の文化や信仰に触れて、自らの悲しい過去を吐露していくことで、少しずつその関係性は修復されて行く。

みんなそれぞれの想いを持ってアメリカ領サモア代表チームのメンバーとして、そして津波で傷ついた島の人々のために、ワールドカップブラジル大会のオセアニア予選にのぞんでいくというわけ。国の威信をかけたプライドとかは、FIFAランキングが高くても低くても変わらないんだよなぁと改めて実感。やっぱりサッカーには人々を勇気づける不思議な力があるんだな。
かつての『がんばれベアーズ』っていう少年野球映画のリアルサッカー版みたいな感じで、かな〜りグッときた。

ほんとはブラジルワールドカップに合わせて上映できたらよかったんだけど。。
桜坂劇場でも上映できればと思います。

『ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦』
http://nextgoal.asmik-ace.co.jp

関連記事