『ストックホルムでワルツを』
『ストックホルムでワルツを』、よかった。
スウェーデンの田舎町出身の女性シンガー、モニカ・ゼタールンドの物語。
トミー・フラナガントリオ、エラ・フィッツジェラルド、ビル・エヴァンス、マイルス・デイヴィス…。そうそうたるジャズ・ミュージシャンが実在の人物として登場する。
以下、ネタバレあり。。
ジャズ・ピアニストの屋良文雄さんに、生前何度か話を聞かせてもらったことがあった。これは「ウチナーJAZZ」という沖縄JAZZ協会のアルバムのライナーを書かせてもらった時に聞いた話。
「あるとき、ビル・エヴァンスのライブを東京で聴いて、その後、ツアーを追いかけました。最後の熊本で打ち上げに押しかけて、彼の前でピアノを弾いたんです。そうしたら『真似をする力を持っているなら、どうして自分の音楽をやらないのか』と叱られました。真似ではなく、その人から瞬間瞬間で出てくるのがジャズなんだと教えられました」。
こうした出来事を経て、屋良さんのJAZZは、オリジナルにシフトしていくことになった。
モニカは、ストックホルムのジャズクラブで歌っているところをニューヨークのプロモーターに気に入られて渡米。ところが、ショーは散々な出来で途端にクビに。失意のままバーのカウンターで飲んでいるところにやってきた、エラ・フィッツジェラルドが。彼女に言った言葉は、まさしくビル・エヴァンスが屋良文雄さんに投げかけた言葉だったのだ。
『真似をする力を持っているなら、どうして自分の音楽をやらないのか』。
ストックホルムに戻った彼女は、周囲の反対を押し切って、スウェーデン語でジャズを歌い始める。そして、後年、ビル・エヴァンスに自ら歌ったテープを送り、ニューヨークに招かれて素晴らしい成功を収めることになる。
沖縄のジャズ・ピアニストとストックホルムのジャズ・シンガーが、ビル・エヴァンスと、エラ・フィッツジェラルドを通じて、響き合うような不思議な感覚を味わった。
この映画、沖縄ではシネマパレットで上映されるようです。
で、東京では、この映画の主演のエッダ・マグナソンのライブもあるようです。
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/edda-magnason/
関連記事